KOGA Chihiro

心通わせ、人馬一体の演技

人と馬、お互いに助け合う関係

馬術は、人と馬が力を合わせ、心を通わせ取り組むスポーツ。オリンピックでは動物と共に行う唯一の競技で、男女の区別なく、同じ条件で実施される。馬術は主に3つの種目がある。20m×60mの「アリーナ」と呼ばれる競技場で、馬の演技の正確さや美しさを競う「馬場馬術」。アリーナに設置された様々な障害を飛越し、障害物の落下などのミスなく規定の時間内でのゴールを目指す「障害馬術」。そして、前述の2種目に加え、自然を生かした障害物を乗り越え、6キロ近いコースを駆け抜けるクロスカントリーを行う「総合馬術」がある。
馬場馬術では、馬がいろいろなステップを踏んだり、円を描くように動いたりするなど様々な演技を見せる。騎乗者である選手は手綱や脚を通して馬に指示を出しているが、はた目には馬が自ら動いているように見える。それは、馬との強い信頼関係があってこそ。「馬の喜怒哀楽は人間並み。褒めて励まし、時には厳しく」。人馬一体と言われるが、馬場馬術ではまさしくそうであることが求められる。
これまで7年間にわたりパートナーを務めてくれた愛馬アンパイア。20歳となり、すでに第一線からは退きつつある。それでもトレーニングや世話などのコミュニケーションを欠かさない。「この子と一緒だから頑張ることができたし、何度も助けてくれた」。アンパイアといるときは、いつも優しく語りかけている。愛馬とは一生のつきあいであることが伝わってくる。

いつかは「全日本」のタイトルを

障害馬術の選手だった父・勝己さんの影響で、早くから乗馬に親しんだ。本格的に競技を始めたのは中学入学ごろから。高校に進学後は、毎年夏休みなどの長期休暇になると静岡県内にあるクラブに泊まり込み、「一人で合宿をしていた」。早朝から馬の世話やトレーニングをし、馬術漬けの日々を送った。その成果もあって、高校2年の時に出場した東京国体では2種目に出場、4位と6位と結果を残した。翌年の長崎国体でも7位に入り2年連続で入賞するなど国内でも上位の成績を収めるようになった。
就職後も勤務時間後や休日など、限られた時間でトレーニングを続け、国体成年の部に始めて出場した2015年の和歌山国体で8位に。以降も国体では入賞を重ね、19年の茨城国体でも8位と結果を残した。社会人となり、仕事と競技の両立に忙しい日々を送るが、「職場の方々や家族など、応援に応えられるように頑張りたい」と、まだ手にしていない「全日本」のタイトルを目指すと力強く語った。
近年、トレーニングの傍らジュニア世代の指導を行う機会も増えた。その際、大切にしていることは「絶対に馬のせいにしない」こと。馬が苦しい、痛いなどと感じることをしないよう、厳しく指導している。馬と気持ちを通わせることができなければ、馬術は成立しない。人と馬が互いに助け合えること。馬術の目指すべき姿を追い続けている。

古賀 千尋 選手

競技:馬術

こが ちひろ

1997年生まれ。神埼郡吉野ヶ里町出身。馬術でワールドカップにも出場した父・勝己さんの影響で、幼少期から乗馬に親しむ。小学校高学年から中学にかけて、本格的に競技に取り組む。国体では高校時代から入賞を繰り返し、アンパイアとパートナーを組んだ2015年の和歌山国体では、成年女子自由演技馬場馬術で8位入賞。2017年の愛媛国体、2019年の茨城国体でも馬場馬術で8位に入賞した。久光製薬勤務。