KINOSHITA Tatsuyuki

まだまだ、記録は伸びる

重さにたわむ鋼鉄製のバー

 200キロを超えるバーベルが鋼鉄製のバーをしならせるが、バーを肩にかけスクワットをしながら「佐賀に来てから、体の調子はいい」と淡々と話した。2021年3月に福井県から小城市に移り、佐賀県スポーツ協会所属でトレーニングと中高生ら後進の指導などウエイトリフティングに向き合う日々を送っています。
 兵庫県明石市出身で、中学時代はハンドボールに打ち込んだ。高校進学後、「自分の力だけで勝負ができる」と個人競技に興味がわいた。当時、体の線が細かったという木下選手。体を大きくしたいと、ウエイトリフティング部の門を叩いた。

全日本や国体で優勝

 ウエイトリフティングは、バーベルを一気に頭上まで持ち上げる「スナッチ」と、いったん肩の高さまで持ち上げ、さらに頭上まで上げる「クリーン&ジャーク(ジャーク)」の二つの試技をそれぞれ3回行う。スナッチとジャークで上げた最も重たい重量のトータルで順位を競う競技だ。
 「どちらかと言えば、パワーよりもテクニック派」で、前半のスナッチでリードし逃げ切るというスタイル。合計6回の試技で上げる重量は、競技中に相手選手の様子を見ながら決めることもあり、重量設定の駆け引きも面白さのひとつという。
 高校時代には全国総体で優勝し、中央大に進学。全日本選手権85キロ級で頂点に立つなど、実績は十分。2018年の福井国体では、開催県選手団の一員として85キロ級に出場た。スナッチは日本新記録となる159キロで、ジャーク170キロのトータル329キロで優勝した。「支えてもらった福井のみなさんが、とても喜んでくれたことが何よりうれしかった」と振り返る。

中学生育成にも注力

 佐賀県スポーツ協会の「SAGAスポーツメンター」として、中学生の育成も進めている。生徒たちは短期間で力を付け、全国大会で入賞するなど結果も出始めた。「(2024年の)国スポでは選手層を厚くし、“チーム佐賀”で上位を目指したい」と熱く語った。
選手として目下の目標は、2022年開催の栃木国体。運動栄養学などを基に緻密に計算された食事を取りながら、8週間の増量と、4週間の減量を繰り返し89キロ級で日本一を目指す。「もっと記録は伸びるはず。佐賀のみなさんに喜んでもらえるような競技をしたい」と引き締まった笑顔を見せた。

木下 竜之 選手

競技:ウェイトリフティング

きのした たつゆき

兵庫県明石市出身。中央大卒。高校入学後に競技を始め、高校、大学で全国総体、全日本選手権で優勝するなど日本を代表するリフター。2018年10月の福井国体ではトータル329キロで優勝。20年の全日本選手権は3位。1998-2017年の85キロ級、スナッチ159キロは日本公認最高記録。