SUDA Takara

高校王者、五輪目指し一歩ずつ

鳥栖工高から山梨学院大へ

 得意の片足タックルを武器に、レスリング男子60キロ級で高校王者に輝いた。大きく成長を果たした高校時代は「1日1日がすごく充実していた」。全国屈指の強豪校で汗を流してきた自負を胸に、山梨学院大という新たなステージでの活躍を誓う。
 地元の大村クラブ(長崎県)で二つ上の兄・快晴と一緒に小学1年から競技を始めた。2年生で出場した全国大会で3位に入って表彰台に上がると、着実に結果を出していった。5年生で初めて金メダルを手にした。
 2018年11月。中学2年生で全国選抜選手権の頂点を射止めると、2019年夏の全国選手権は準決勝までの5試合全てでテクニカルフォール勝ち。決勝では、小学時代からのライバル西内悠人に6―2で判定勝ちした。「小学生の頃は手も足も出なかったけど、中学最後で初めて勝てた」と印象に残る。

兄の背中を追って

 高校は、兄と同じ鳥栖工高を選んだ。2020年8月には左膝を手術。その後は、けがへの恐怖心を抱えながら「兄を超えたい。高校でタイトルを取りたい」と練習に励んだ。先輩や同級生が優勝を勝ち取る中、結果が出ずにもがいていた。
 2021年の全国選抜と全国総体は団体優勝に貢献。しかし、個人戦は振るわなかった。「力負けしない最適の階級」と考え、65キロ級から60キロ級に落として臨んだ2022年の全国選抜。順調に勝ち進み、準々決勝で西内と対戦。終了間際にタックルを受けて失点したが「大会直前に取り組んだ練習が生きた」と逆転勝ち。そのまま頂点に登り詰めた。

日の丸背負い、世界も体感

 2023年1月には日の丸を背負って米国遠征に臨んだ。団体戦では4戦4勝。「技術面では相手を上回ることができた」と胸を張る一方で「海外の選手はアグレッシブに攻めてくる。そういう部分は不足している」と、自らの課題も見つかった。
 競技を始めたときから抱いてきた目標は五輪出場。そのためにまず、大学で結果を残す必要があることは分かっている。今年2月に左膝の2度目の手術をし、復帰までは半年ほどかかる見込み。入学後はけがをしない強靱な体をつくることから始まる。
 大学では「(団体戦の)レギュラーになり、個人でも優勝する」と力を込める。まずは焦ることなく左膝を完治させ、頂点を目指す。その先にある五輪出場の選考対象となる舞台でも結果を出していく。一歩ずつ着実に目標に向けて歩みを進めていく。

須田 宝 選手

競技:レスリング

すだ たから

長崎県大村市出身。大村郡中―鳥栖工高。2018年に全国中学選抜選手権で優勝。同年U15アジア選手権では2位に入った。2022年の全国高校選抜で頂点に立ち、同年の全国総体と栃木国体は準優勝だった。2023年4月から山梨学院大に進む。