MITSUKAMI Sougo

力強く、もっと前へ

全国高校総体3位

 しんとした冬の土俵に、「パンッ」とぶつかり稽古の乾いた音が響き渡る。大学進学を控え、高校時代を過ごした土俵の感触を確かめるように、一つ一つの動作を確認していた。
 高校相撲の集大成として臨んだ全国高等学校総合体育大会「四国総体2022」は、個人戦でエントリーした80キロ級で3位と見事な結果を残した。だが振り返ると、優勝を目指していただけに「悔しい思いでしか残っていない」。日本一の称号は大学相撲での大きな目標として、胸にしまった。

陸上で培ったスピードと瞬発力

 小さいころから体を動かすことが好きで、小学校では姉の後を追いかけて地域の陸上クラブに入った。持ち前のスピードを生かし、小学6年の時にはリレーで佐賀県ナンバーワンに輝いた。
 中学でも陸上を続けるつもりだったが、入学した北方中には陸上部がなかった。部活動を何にするか。そう悩んだとき、相撲部が目に入った。最初は「体が強くなるかな」と思うぐらいだったが、友人たちと土俵で互いに高め合ううちに相撲の奥深さに魅了された。
 陸上短距離の選手だっただけに、まずは体重を増やすことが必要だった。だが、自他共に認める食の細さ。なかなか体が大きくならなかった。そこで、小兵力士の真骨頂である「相手の力を使って勝つ」戦い方を学んだ。陸上で培った瞬発力を生かし、土俵際で素早く体を入れ替え一気の攻めで相手を押し出す。自分の相撲の形ができたことで、中学3年の時には全国中学校体育大会で団体3位の原動力として活躍した。

念願の日本一を目指し大学へ

 中学を卒業するとき、「地元で相撲を続けたい」との思いを実現するため、多久高進学に迷いはなかった。だが高校1年で挑戦した全国大会で、高校相撲の力強さを思い知った。「もっと強くなりたい」との思いが一層高まり、苦労して食事の量を増やし、ウエイトトレーニングにも積極的に取り組んだ。日々の積み重ねは、得意な相撲の形にも変化を与えた。頭をつけて右の下手を取れば、自分の形になる。以前はそこから一気のがぶり寄りを得意としたが、いまは焦らず、確実に一歩ずつ、力強いすり足で相手を寄り切る。その成果が、全国総体個人3位につながった。
 大学では、高校時代につかむことができなかった「日本一」の獲得が目標だ。そのためにはさらなる体づくりが必要になる。全国から集ったライバルたちと同じ土俵で競い、頂点を目指した戦いの毎日が、楽しみだ。

満上 颯悟 選手

競技:相撲

みつかみ そうご

2004年生まれ。姉の影響で小学生時は陸上に取り組み、リレーで佐賀県大会優勝するなど活躍。北方中に進学し、相撲部に入部。中学3年で全国中学校体育大会で団体3位入賞。多久高相撲部でも県内外の大会で活躍。全国高校総合体育大会「四国総体2022」では、個人80キロ級で3位に。日本体育大学で競技を続ける。佐賀市。