
パンチもらわないボクシングが理想
2023年3月に開かれた全日本UJフレッシュボクシング大会兼全日本UJ王座決定戦出場権争奪戦の男子36キロ級Bで、日本一の栄冠に輝いた川野琉夏選手(15)。小柄な体格で普段は柔和な表情を見せるものの、リングに立つと鋭い視線に一瞬で変わり、「自分はガツガツいくタイプのボクサーだと思う。スタミナを武器に攻め続けるボクシングを目指している」と力強く語る。
強いのか弱いのか分からない
保育園から空手に取り組み、小学2年生の時にボクシングに転向。もともと格闘技は好きだったが、テレビで試合を見た井上尚弥選手に憧れて、いとこが通っていたボクシングジムに入ったという。最初は「ずっとガードをしていて腕がパンパンになるし、走り込みもきつかった」というが、トレーニングを重ねて徐々に体力が付いてくると、パンチも少しずつ当たるようになってきた。「きつかったけど、先輩や仲間などみんなと一緒だからモチベーションが上がった」と振り返る。
小学校の時はコロナ禍の影響などで試合をする機会が少なく、「自分が強いのか弱いのか分からなかった」。その後、中学1年の夏の全国大会で優勝し、中学2年の終わりの全日本UJフレッシュ大会でも頂点に立った。全国で2度優勝し、「狙っていたのでめちゃくちゃ嬉しかった」と話すが、中学3年の終わりのUJフレッシュ大会は、九州大会で敗退。「佐賀県内では敵なしでも、九州や全国には強い選手がたくさんいる。まだまだ努力が足りない」と自戒する。
目標はプロ、世界王者目指す
理想とするボクシングは「相手のパンチをもらわず、自分のパンチを的確に当てるボクシング」。動体視力には自信があるので、3ラウンドを動き続けられるスタミナが重要になると自覚している。走ることは好きで、毎日5キロの走り込みも苦にならない。走り込みに加え、スパーリングなどの実戦形式の練習を多くこなすことで、理想のボクシングに少しでも近づきたいと考えている。
右利きで、得意なパンチはフック。「右ストレートを戻す反動を利用して、左フックを放つ。腰のひねりが大切だと思うので、意識しながら磨きを掛けている」という。試合中の駆け引きも得意で、ジャブで間合いを計りながら待ち、相手の攻撃をうまくよけてカウンターパンチを放つといい、「うまくカウンターが決まると最高」と笑顔を見せる。
春からは県内の強豪・高志館に進む。中学3年から同校で練習しており、環境に不安はない。「試合前の追い込みの量が多くて自分に合っていると思う。練習量が多いのはきついけど、先輩たちと一緒なら頑張れる」。当面の目標はインターハイで優勝することだが、その先はプロの世界を見据える。「井上尚弥選手のように世界チャンピオンになりたい」と力強く夢を語った。