SHIKA Ayaka

一本で勝つ柔道を

悔やまれるインターハイ

 高校柔道の集大成となるはずだったインターハイ、「北信越総体2021」は思いがけない形で終わった。同年3月の全国選抜63キロ級で準優勝し、頂点を目指した高校最後の舞台。主将としてチームを率い、団体では準優勝に輝いた。だが優勝を狙っていただけに、悔しさも大きかった。「次は個人戦」と気持ちを入れ替え、1回戦からトップギアで臨んだが、それが裏目に出た。反則負け。想像だにしなかった結果に呆然となった。
 気合いが攻め急ぐことにつながったのだろうか。押し込んだところで倒れ込み、それが危険な行為として反則とされた。疑問の残る判定だったが、結果は結果。受け入れるしかなかった。「もっと冷静に、流れの中で技を出すべきだった」。

日本一、そして世界へ

 姉の柔道を見学し、自分もやりたいと年長児から始めた。その才能は早くから開き、小学校の県大会では、後に中学からチームメートとなる橋口茉央選手と常に顔を合わせ、県トップの座を競った。中学では九州一になり、高校では全国トップを目指した。高校1年の全国総体ではベスト8。コロナ禍でも必ず来る舞台を目指して、必死に練習した。主将として、厳しいときほど声を出し、試合の緊張感がなくマンネリとなりかねない毎日でも、一つ一つの動きを素早く、行動する姿で部員を率いた。
 そして満を持して挑戦した全国選抜では、2位という好成績を収めた。橋口選手は優勝するなど、佐賀商女子柔道部は一気に全国有数の強豪チームとして表舞台に躍り出た。「2位と1位では大きく違う。今度こそ」と挑んだインターハイでは個人として成績は残せなかった。ただ、この経験も今後の柔道人生に生かさなければと前を向いている。
 2022年4月からは東海大に進む。柔道の世界では、日本一は世界でもトップクラスであることを意味する。シニアの大会ではスピード、パワー共に大きく上がるが、「これからが楽しみで仕方ない」と笑う。「まずは学内の代表をつかみ、それから日本一を目指したい」。高校時代に経験した嬉しさと悔しさを糧に、世界柔道という大海原に向けてこぎ出した。

鹿 歩夏 選手

競技:柔道

しか あやか

2003年生まれ。武雄中-佐賀商高。幼児期から柔道を始め、中学で九州大会優勝、最優秀選手に選ばれるなどして活躍。第43回全国高校柔道選手権大会63キロ級で準優勝。主将として率いた、全国高校総合体育大会(北信越総体2021)の女子団体で準優勝。2022年4月から東海大に進む。得意技は体落としと内股。全日本柔道連盟強化選手。