飽くなき向上心 飛躍誓う

Jから海外、そしてA代表

 「Jリーグで活躍し、さらには海外で活躍して、A代表を目指している」-。そう言い切るのはサガン鳥栖のDF中野伸哉だ。今春、高校を卒業したばかりの18歳。ただ、ピッチに入れば気持ちがいいくらい遠慮がなく、貫禄さえもある。飽くなき向上心を抱く中野は今季、さらなる飛躍を誓う。

U―24 “飛び級”抜てき

 スピード感ある攻撃参加と左右両足の正確なクロスが持ち味のディフェンダー。中学から鳥栖U-15に加入し、世代別の日本代表にも名を連ねてきた。20年には16歳11カ月というクラブ史上最年少でJ1リーグ戦デビューを果たした。21年にJ1史上最年少開幕先発の記録を更新。東京五輪メンバーには選出されなかったものの、同3月にU―24日本代表に招集された。当時17歳。異例の“飛び級”抜てきだった。
 その後もさまざまな記録を更新し続けた中野。今年3月第3節の名古屋戦では、元日本代表のMF阿部勇樹(当時・市原)が持っていた史上最年少でのJ1通算50試合出場記録を18歳6カ月17日という早さで、22年ぶりに塗り替えた。

結果を残し、スタメン定着を

 ただ、今季は開幕から3試合連続でスタメンから外れた。「更新できたことは素直にうれしいが、スタメンに定着できないない。まずはスタメン出場して結果を残して、出場時間を増やしてきたい」。悔しさを感じながらも努力は怠らなかった。
 同4節の横浜M戦。これまで主戦場としていた左サイドではなく右サイドで先発出場を果たすと、素早く攻守の切り替えを行って攻撃にも参加した。大雨と寒さの影響で思うようなプレーができない時間が多かったが、「前にはっきり蹴ることを意識し、チームで声を掛け合うことができた」。チームが一新し、監督から求められプレーが変わった中でも、対応できる力を示した。

副主将としてチーム牽引

 世代別の日本代表候補合宿の経験も成長につなげた。各クラブの有望株が集まるうえ、元日本代表DFの内田篤人氏から直接指導を受けられる貴重な機会を得て、「ポジションを高く取って、相手のセンターバックと戦うようなアグレッシブな攻撃の必要性を学んだ」と話す。
 副主将を務める今季は「チームを引っ張りたい」という発言が増えた。我を貫くだけでなく、チームに合わせた上で自分を表現する。「まずはサガン鳥栖で1年間を通し、スタメンで出られるだけの力を身に付けたい。昨年2アシストの記録を超え、J1初ゴールも狙ってる」。覚悟と責任を胸に、18歳の新シーズンが始まった。

  選手

競技: