KUBOYAMA Haruna

世界見据え、もっと速く

間近で感じた、世界との差

2022年7月、米国オレゴン州で開かれた陸上の世界選手権。男女混合1600メートルリレーのメンバー6人に入り、初めての日本代表入りを果たした。日の丸を背負う特別な機会は大きな喜びでもあったが、出場の機会には恵まれず悔しさが残った。それでも大きな収穫があった。世界トップの実力を、間近に感じることができたことだ。世界との差、その最たる違いはスピード。「走りのレベルを数段上げないと」とても世界では戦えないことが分かった。女子400メートルの日本記録51秒75は10年以上更新されていない。「日本記録を更新し合うような、切磋琢磨する環境を作らなければ」と切実に感じている。

自己ベストを連発

 代表入りを決めた22年6月の日本選手権400メートル予選で自己ベストを更新。決勝で3位に入り、リレーメンバーとして代表の座をつかんだ。同年9月の全日本実業団対抗選手権では、53秒24とさらに記録を伸ばして優勝した。ただ、この記録には物足りなさしか感じないという。「まずは52秒台、その先の51秒を目指さないと日本のトップはもちろん、世界は見えない」と厳しい表情を見せる。
 ただ、22年シーズンは100メートル、200メートルでも自己新を出すなど、調子は上向いている。「体の調子は悪くない。だからこそ質、量ともに高いレベルのトレーニングに取り組みたい」と、次こそは世界を相手に戦うと力強く語った。

佐賀北、福岡大で活躍

 陸上との出会いは小学4年で始めた陸上教室。もともと「よく走り回っていた」という子ども時代を過ごし、生来の負けず嫌いの性格もあって田代中でも陸上部で活躍。佐賀北高から福岡大に進んだ。4年時のインカレ(日本学生選手権)では、100メートル優勝、200メートル2位に。卒業後は今村病院(鳥栖市)で勤務しながら、母校の福岡大でトレーニングを続けている。
 400メートルは、実業団として活動する中で取り組みを始めた。「400を走れば、100や200にも生かせる力がつく」と感じているとおり、3種目全てで記録が伸びている。仕事と競技のバランス、練習環境も整うことで「心身ともに安定している」と感じている。

2024年への思い

 週4回、午前に出勤し、午後はトレーニングに向かう。職場は陸上優先の勤務を認めてくれていることに「感謝しかない」。目標は2024年の佐賀国スポ。「佐賀にお世話になった自分には、結果を出す責任がある」。個人競技はもちろん、リレーでも決勝出場を目指し、さらに上の結果も視野に入れる。
 職場の同僚や利用者から「頑張っているね」と声をかけられること、大会の成績を見てもらえていることも大きな励みとなっている。世界を見据え、まずは国内で確固たる地位を築くという強い思いを、全身が放っている。

久保山 晴菜 選手

競技:陸上(短距離)

くぼやま はるな

1996年生まれ。鳥栖市出身。田代中―佐賀北高―福岡大。小学生の時から地元クラブで陸上に親しみ、中学の部活動から本格的に取り組む。県代表として高校総体に出場し、大学4年のインカレで100メートル優勝、200メートル2位と活躍。2022年の日本選手権で400メートル3位に入り、同年の世界陸上日本代表に選出。400メートルの自己ベストは53秒24。今村病院所属。