NAGAISHI Koyuki

日本の最速女王目指して

自己ベスト11秒65

2021年6月、大学生らを含む20歳未満の選手で競うU20日本選手権女子100メートル決勝。高校3年で出場し、大会記録に並ぶ自己ベスト11秒65で優勝した。自身も驚く好成績だったが、「30メートル付近で記録が出そうな手ごたえはあった」冷静に振り返った。
会場では東京五輪の出場をかけた日本選手権も開かれていた。大舞台にも気後れすることなく、予選で11秒72の佐賀県新記録を出すと、その勢いのまま決勝も駆け抜けた。実はその1週間前、全九州高校体育大会北九州地区予選でも11秒76の大会新で優勝していた。連戦の疲労もあったが、勢いが勝った。
迎えた高校最後の大舞台、同年7月の北信越総体でも自己タイ記録の11秒65で高校日本一に輝いた。1年の時は予選で敗れ、2年時は新型コロナウイルス感染症の拡大で中止に。ようやくつかんだ頂点。「自分一人では達成できなかった。先生やチームメイトのおかげ」と謙虚に語った。

偶然だった陸上との出会い

 幼少期、比較的習い事は多かった。3歳から始めたクラシックバレエに一番熱中した。踊る際に必要となる体幹の力を鍛えることができればと、母親が陸上教室を紹介してくれた。もともと走ることは得意で、特に仲間と力を合わせるリレーが好きだった。中学進学後もバレエと陸上、そして学業の両立を目指したが、さすがに時間のやりくりが難しくなってきた。陸上ではすでに県内でも指折りの力が備わってきたこともあって、スポーツは陸上に絞り、高校進学も短距離で実績がある佐賀北高を選んだ。
 唐津市の自宅から高校までは列車通学で1時間以上。まじめな性格ゆえ、朝補習などの勉強にも手を抜くことはなかった。高校入学後、すぐにあった県総体100メートルでいきなりの優勝。以降も順調に成績を伸ばし、世代間では日本トップクラスにまで実力をつけた。

日本記録更新と五輪出場

 大きなストライドを生かした後半の加速力が魅力だが、裏を返せばスタートと中盤のつなぎが課題となる。高校卒業後、進学先に選んだ立命館大陸上部には、全国から優秀な選手が集い、成長できる環境がある。ただ最初の1年間は、新しい生活に適応することに注力し、無理に記録を伸ばすような取り組みは控えた。実家を離れた一人暮らし。「食事作りはやっぱり悩みますね」と苦笑いするが、「基本はご飯とみそ汁、サラダ、そしてメーンのおかず」としっかり者の一面ものぞかせた。
 日本人にとって、陸上短距離でオリンピック出場するには「参加標準記録」という非常に高いハードルがある。それを超えるためには、日本記録を更新する程度の速さが求められる。「4年生までにインカレで優勝できれば」と控えめに語るが、日本を飛び出す逸材にも進化する可能性を秘めている。けがをしない体づくりや筋力アップなど、着実にトレーニングを続ければ記録はまだまだ伸びるはずだ。高校最速スプリンターが、大学、そして日本最速と成長し、世界の舞台を走る日が来るかもしれない。

永石 小雪 選手

競技:陸上(短距離)

ながいし こゆき

2003年11月19日生まれ。唐津一中-佐賀北高-立命館大。小学校中学年から地元陸上教室に通う。中学最後の中体連では九州1位に輝く。高校1年で県総体100メートル優勝。以後、SSP杯を含む3連覇。2021年、U20日本選手権100メートル優勝、全国高校総体100メートル優勝。ベストタイムは11秒65。唐津市出身。