KANDA Arata
日の丸背負い、世界へ挑戦
インターハイ、5位入賞
「1年生だけど入賞する」。固い決意を胸に臨んだ、2022年8月の四国総体。言葉通りの活躍を見せ、男子高飛び込み決勝で5位に入った。「目標の入賞を果たせてよかった」とほっとしつつも、「練習でできていた演技が失敗をしてしまった」と悔しさもにじませた。
前々日にあった板飛び込みを10位で終え、「高飛び込みで決める」と気合いを入れた。高飛び込み決勝では、規定の4本を終えて3位につけた。その後に崩れて7位まで後退したが、気持ちを持ち直して9本目の演技を決めた。
ノースプラッシュに魅了され
六つ年上の兄の背中を追いかけ、小学1年から佐賀ダイビングクラブで練習に打ち込んだ。最初は飛び込みになれるためのコースに参加したが、新たな課題をクリアする達成感に夢中になり、小学4年から週6回練習する「選手コース」に進んだ。めきめきと力をつけ、中学1年からは全国大会で入賞するまでに成長した。
最大10メートルの高さから水面に飛び込む衝撃は、心身両面に大きな負担をかける。「怖かったり、痛かったりする。やめたいと思うこともある」。それでも、しぶきを上げない「ノースプラッシュ」が決まるなどの成功体験や、全国の仲間の活躍が原動力になっている。活躍の舞台が全国に広がったことで、五輪出場選手からの指導を受ける機会もあった。「基礎練習を完璧にやらないと」と、普段の練習に対する姿勢が変化してきた。
初の日本代表として
四国総体の直後に大阪府であった全国JOCジュニアオリンピックカップの高飛び込み(14~15歳)で、世界ジュニア選手権の参加標準記録を突破して優勝した。同じ学年で、世界選手権銀メダリストの玉井陸斗選手(兵庫県・須磨学園高)が日本代表に選ばれる姿を見てきただけに、「自分もいつか選ばれたい」と、中学生のころから日の丸への思いを抱いていた。一方で、日の丸を背負うことは「嬉しい半面、いまの自分のレベルで戦えるのか不安」と複雑な気持ちもあった。それでも、初めての国際舞台は「周りがすごい技を飛んでも、引きずられないようにしたい」と挑戦者として飛び込んだ。
2022年11月~12月の8日間、カナダ・モントリオールで開かれた世界ジュニア選手権。6日目の高飛び込みに出場した。結果は18位。決して納得のいく結果ではなかったが、世界との差を直に感じられる貴重な経験となった。未完の大器が、大きな一歩を踏み出した。
神田 新 選手
競技:水泳(飛込)
かんだ あらた
2007年3月7日生まれ。佐賀市出身。成章中―佐賀学園高。2019年8月、全国JOCジュニアオリンピック夏期水泳競技大会高飛び込み男子12~13歳8位入賞。2022年8月、全国高校総合体育大会高飛び込み5位入賞。同、全国JOCジュニアオリンピックカップ夏期水泳競技大会男子高飛び込み14~15歳優勝。