MAKIYAMA Sora

夢はオリンピックで活躍

 唐津市の松浦河畔公園内にある洋弓場。まだ表情にあどけなさが残る牧山蒼空選手はシューティングラインに立ち、鋭い目つきで的に狙いを定める。引き分けたストリング(弦)をリリースすると矢はシューという小気味よい音を立てながら真っ直ぐに飛び、的の中心付近に突き刺さった。牧山選手は特に表情を変えることもなく次の矢をつがえ、黙々とシューティングを続けた。
 牧山選手は2022年8月に開かれた全日本小中学生アーチェリー選手権大会の小学生男子リカーブ30メートルの部で頂点に立ったほか、23年2月の全日本室内アーチェリー選手権大会男子リカーブ小中学生で準優勝、同8月の全日本小中学生アーチェリー選手権大会中学生男子リカーブの部で5位入賞するなど数々の成績を残している。

的に当たる喜びが原動力

 アーチェリーとの出会いは小学4年生の時で、母親の勧めで地元のクラブに体験入部した。それまで本格的にスポーツに取り組んだ経験はなく、アーチェリーについても「何それ?」という状態だったというが、初めて的に当たった時のうれしさが競技に取り組むきっかけとなった。「だんだん的に当たるようになるのが面白くて、またぜひやりたいと思った」と振り返る。
 アーチェリーの魅力は「的に当たったときの気持ちよさと、個人競技だからこその自分と戦っているような感覚」と話す。調子が悪く思ったところに当たらないこともあるが、そういう時は友達と遊んで気分転換するという。スランプから脱出するコツは「狙いすぎないようにすること」。狙いすぎると筋肉が緊張してフォームが崩れるため、「リラックスして平常心で臨むようにしている」と語る。

アーチェリーの魅力伝えたい

 全国大会でよく対戦する同級生のライバルが滋賀県にいる。試合以外では仲がいいが、試合の時は特に意識し、勝ったり負けたりしながらお互いに成長できているという。当面の目標は弟・凌久くん(11)と一緒に、9月に開かれる全日本小中学生選手権に出場することで、「出場するだけでなく、入賞を目指したい」と気合いを入れる。その先はU18のナショナルチームへの選出を見据える。そのためにも得意の18メートル、30メートルだけでなく「70メートルでも点数を取れるように練習量を増やしたい」と力を込めた。
 将来的にはオリンピックで活躍するという大きな夢を持っている。「オリンピックは世界中の強い選手たちが集まって戦う場所。そこに参加して、強い相手とやり合ってみたい」と目を輝かせる。そしてもう一つの夢が「指導者になること」。自分が大好きなアーチェリーの魅力を、より多くのお人に知ってもらうつもりだ。

牧山 蒼空 選手

競技:アーチェリー

まきやま そら

2010年10月5日生まれ。唐津市出身。小学4年生の時に唐津ジュニアアーチェリークラブで競技を初体験。練習を重ねると九州大会や全国大会で活躍するようになり、小学6年生の時に全国優勝を果たした。週6日の練習に励んでおり、アーチェリー以外では友達とゲームや野球を楽しんでいる。当面の目標は700点台を叩き出すこと。