世界新を目指して

12年ぶりに日本学童新更新

 「最終的な目標は世界新記録」。50メートル背泳ぎ(長水路)、100メートル個人メドレーの日本学童、中学記録を持つ寺川琉之介選手(ビート伊万里)は、力強く言い切る。
 母綾子さんに連れられて水泳を始めたのは2歳。小さな頃から水に親しんだ寺川選手。小学校1年生でビート伊万里の選手コースに通うようになってから、「誰よりも早く泳ぎたい」と記録へこだわりながら取り組んできた。熱心な練習は小6での日本学童記録につながった。
 50メートル背泳ぎは、リオ五輪金メダリストの萩野公介選手が持っていた学童記録を12年ぶりに塗り替えた。100メートル個人メドレーでは、従来の記録を一気に1秒31縮めた。寺川選手を見守る宮地耕太郎コーチは、「競泳への考え方をしっかり持っている。自分のいい所、悪い所を分かって練習に取り組んでいる」と、競技への姿勢を評価する。

コロナ禍も前向きに

 日本水連の標準記録を突破したことでナショナルチームの合宿にも中1から2年連続で参加した。「強い選手の泳ぎを見て、会話をすることでいい刺激になった」と冷静に感想を語る姿は、中学生とは思えない。2020年は、新型コロナウイルス感染拡大で主要な大会が中止となったが、その中でも「大会がない分、自分の泳ぎを見直すことができた」と落ち着いたもの。不運な期間も前向きに乗り越える精神力が頼もしい。
 2021年2月のジャパン・オープンでは、シーズン19位の記録で50メートル背泳ぎに一般選手とともに堂々と参戦。ここでも萩野選手の日本中学記録を塗り替えた。26秒05は予選全体で8位だったが、同じタイムの大学生選手との勝者決定戦に敗れて予選突破はならなかった。
 春からは武雄高校に進むが、練習はビート伊万里で続ける。決勝に残れなかったジャパン・オープンの悔しさは、「できるだけ早く高校新を出したい」と次のステップにぶつけるつもりだ。

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