KAYOTANI Ritsu

「世界の岩を登りたい」

父に連れられ岩場へ

 「世界の岩を登りたい」。そんな夢を語るのはスポーツクライミングで全国トップクラスの争いを繰り広げる通谷律選手。現実の岩場に思いを広げながら、クライミングの技術を追求する。
 競技に触れるきっかけは、父明徳さんのクライミングへの挑戦。クライミングに興味を持った明徳さんに連れられて5歳の通谷選手は岩場に通うようになった。そして、小学1年時に加入した佐賀ユースクライミングクラブで、徐々にスポーツクライミングの世界にはまっていった。
 始めた当初、競技には関心がなかったというが、小学6年で全国大会に入賞した頃から、積極性が出てきたという。「思い通りの動きでスムーズに登れたらうれしい」と、競技への面白さが深まるとともに成績にも表れるように。中学1年で出場したボルダリングユース日本選手権では、年齢別のユースC部門で優勝した。
 「人の登りを見て解析する力がある」と、明徳さんは強みを指摘する。大会では、「ルートセッター」が設定するゴールまでの道筋を読み解く力が重要。加えて、その時々で方針を変更することも必要で、「その反応や判断を速くしたい」と練習に励む。日本代表として国際大会に出場することが当面の目標だ。

自分のスタイルで登る楽しさ

 そして競技以上に熱中するのが実際の岩場でのクライミング。熊本県や大分県、宮崎県などいろんな岩場に通っている。開放感とともに、「人によって登り方が違う。自分のスタイルで登る楽しさがある」と、その自由さを満喫している。
能力に応じて、一気に進んだり、テクニックを駆使したり頂上を目指すやり方は千差万別。「『完登』した時は気持ちいい。苦しんだ時ほどうれしさは大きい」と笑顔を見せる。
 「かっこいい形や色の岩を登って、目に焼き付けたい」。直感的な岩への思いが、通谷選手をクライミングへかき立てる。競技も世界の岩も頂点を目指す。

通谷 律 選手

競技:山岳(クライミング)

かよたに りつ

2006年、伊万里市出身。5歳で父とともに岩場に通い、小学1年で佐賀ユースクライミングクラブに入る。2019年、ボルダリングユース日本選手権とJOCジュニアオリンピックカップ大会ユースC部門で優勝。2020年、リードユース選手権ユースB部門2位、ボルダリングユース日本選手権同部門3位。